高津原石憧(高津原)

     

豊後大野市指定有形文化財

 高津原地区の民家に隣接して小さなお堂が建っており、その中に 祀られている。
 地区の人は地蔵様と呼び、昭和60年ごろまでは1月24日と 8月24日に食べ物を作って持ち寄り、お接待の行事をしていた。 また火防の神として崇められ、現在も正月の第3日曜日に大聖寺の 和尚に釆ていただき、お経をあげてもらう行事は続いている。
 天文18年(1549)3月の造立で、高さは2メートル4センチ ある。
 笠は円形で、軒口には垂木が刻まれ、内ぐりはやや浅い。  龕部は四角形で、各面を2区分して6地蔵と閻魔が彫られており、 風化も少なく良好な状態に保たれている。
 中台は円形で、花弁模様を全体に線彫りしている。  竿は四角形であるが面取りしており、多数の銘文が彫られている。 それによれば、明妙と満優という2人が六鉢の地蔵尊像の塔を道立 して仏様の功徳を願うと共に、この地域が現在及び未来にわたって 安楽の地であることを祈ったものであることがわかる。また、安政 元年(1854)の冬の地震で塔がこわれたので、地域の善男善女 が発願して安政2年の春に再建し供養したということも刻まれてい る。江戸時代から地域の人々の深い信仰を集めてきた地蔵様である。